preface幽霊船ログブック

序文

インデックス・ストーリー初の、
海を舞台にした冒険記録。
ちょっと変わった船員たち、海の生き物、
陸と海とで扱われ方が違う死後の事情が描かれます。

主人公:ソットリット・ファーーフ

幽霊船ログブック

is00舞台袖:起

私の名前は、
ソットリット・ファーーフ(長音は2つ重ね)。
一人乗り白鳥ボート・チャイコフスキー28号で
海に出た勇猛果敢な男であり、
これから名を(げる予定の自称・船乗りだ。

幸運な私は出航して半日で、
リバティ船級「メタ・カラ号」に遭遇した。
ソレは人気(ヒトケ)も目的もナイ難破船。
海賊の足として名を馳せた名艦の、成れの果て。

どうして航行不能になった船が
通常運航しているのか...。
何故、私がこんな気味の悪いモノに
乗り込んだのか?
まぁ、アレだ...沖で浸水する28号と
不得手な水泳に命を預けるよりマシだろう?

お前も海の男なら、
そういう細かいコトには触れて呉れるな。
コレは、そんな幽霊船に乗り込んだ船乗りの男が
船長として一人前になるまでの草稿日誌(スクラップ・ログだ。

幽霊船ログブック

is01第1幕

  • 第1幕 「人生はコウカイするもの」

  • 第1章 「私には公開する意思がある」


    レ・レ・ミョ村の大工の家に、男の子が生まれた。

  • 第2章 「地図を読む人々」


    ァヒョ支流の先には、海という世界が広がっている。

  • 第3章 「冒険に身を置く少年」


    同年代の私には、弊害調査を続ける彼がヒーローのように見えた。

  • 第4章 「近所の悪ガキ、自慢の息子」


    両親を困らせたコトは一度もなかった。

  • 第5章 「幼少期の憧れは流星の如く」


    その人は拠点を原色平原へ移し、この村を出て行った。

  • 第6章 「お隣に住む警備員(ニート


    陽気な青年・メタクリルさんは、ここ何年も自由を謳歌している。

  • 第7章 「村を襲った天災」


    リギ・テダル山脈から流れてきた雪解け水が、村を半壊させた。

  • 第8章 「私には後悔する過去がある」


    村で唯一の再建慎重派メタクリルさんが、或る晩姿を消した。

  • 第9章 「希望を(モタラす無精者」


    偉いヒトだという中年の男がやって来て、村人たちに笑顔が戻った。

  • 第10章 「私には航海する人生がある」


    村の復興を見届けた私は、(スベてを海に賭けるコトにした。

is02第2幕

  • 第2幕 「メイアンを分けた出会い」

  • 第1章 「カェヌョの旅立ち」


    子どもを卒業した私は、或る満月の夜を選んで "彼ら" と共に川を下った。

  • 第2章 「ァヒョ支流からロロキュフ海へ」


    百聞は一見に如かず。

  • 第3章 「立ち向かうべき敵」


    ロロキュフ海は、南に位置する穏やかな海だと聞いていたのだが――

  • 第4章 「海獣パンダ」


    私とチャイコフスキー28号は、獰猛な海の王者と対峙した。

  • 第5章 「夜明けの霧の中に..」


    ぼんやりと霞む海上を、巨大な船影が横切った。

  • 第6章 「満身創痍」


    千切れかけの縄梯子(パイロットラダー)を伝い、静まり返る船に乗り込んだ。

  • 第7章 「その旗に見覚えアリ」


    海に還った相棒を弔い、見上げた先にソレを捉えた。

  • 第8章 「明暗を分ける」


    海賊船メタ・カラ号の噂が、記憶の底から浮上してきた..。

  • 第9章 「音も無く忍び寄る怪異」


    首筋に、何か冷たいモノが触れた。

  • 第10章 「名案を分ける」


    その幽霊との会話に、楽しみすら覚えた。

is03第3幕

  • 第3幕 「テンキに注意せよ」

  • 第1章 「陽気な幽霊、能天気な幽霊」


    ウナ・ルニ〜ルは、生前から一風変わった考えに取り憑かれていた。

  • 第2章 「船内探検」


    ルニ〜ルの案内で、白骨を避けながらキッチンへと向かった。

  • 第3章 「明らかに騒がしい冷蔵庫」


    ポルターガイストだろうか..?

  • 第4章 「窮地脱する幽霊、((マデも幽霊」


    冷蔵庫のドアを開けると、中から悪魔が飛び出してきた。

  • 第5章 「よォ、兄弟ッ! ル〜ニィ!!」


    ィエゥ・ハファッシュは、ルニ〜ルとは旧知の仲らしい。

  • 第6章 「幽霊ニャワトリ」


    ゴーストエッグは、意外にイケる。

  • 第7章 「檣楼(ショウロウ)より緊急報告」


    辺りを警戒していたルニ〜ルが、見張り台から下りてきた。

  • 第8章 「今こそ転機と叫ぶ時」


    "潮流が変わった..?"

  • 第9章 「これより西海、ル・ラクフララ海」


    海上に引かれた石灰ラインを超え、メタ・カラ号は北上を始めた。

  • 第10章 「転記に気付く」


    インクの滲んだ紙切れを見つけた私は、その違和感に戸惑った。

is04第4幕

  • 第4幕 「紳シテキな振る舞い」

  • 第1章 「他に幽霊は居ない」


    船倉の至るトコロに、人らしき白骨が転がっているのに..?

  • 第2章 「船長室に押し入れば」


    立派な替えの服が掛かっているが、ソレを着るべき人物は見当たらない。

  • 第3章 「私的ログブック」


    公のログブックとは別に、船長の日記が見つかった。

  • 第4章 「記すはメタクリリック・アシッド」


    この人物の日記であるというコトは、この海賊船の(アルジ)は――

  • 第5章 「水没区域」


    生身の私では、資料庫へは辿り着けない...

  • 第6章 「オススメは、便利な3つの機能です」


    幽霊に搭載されている機能は、浮遊・透過・無呼吸。

  • 第7章 「自分の今後に史的価値を持たせる方法」


    幽霊船で暮らしたってだけじゃ、誰も私を認めはしないだろう。

  • 第8章 「ウナの詩的海図読み(チャートリーディング)


    "これでもボクは、航海士(志望)なんだぞっ!"

  • 第9章 「死して尚、意思を持つ海賊船」


    波に揺られて彷徨ってる、って感じじゃない。

  • 第10章 「ハファッシュの悪魔的指摘」


    "なァ、そしたらさァ...今、誰が舵取ってんだヨ?"

is05第5幕

  • 第5幕 「秘密のセンキョ」

  • 第1章 「船橋(ブリッジ)占拠」


    舵に手を掛ける操舵手(クオーターマスター)は、白地に茶ブチの縫い包みだった。

  • 第2章 「住居は五体満足+尻尾」


    乗組員3名(幽霊)が、その中に入っているようだ。

  • 第3章 「ニューリーダー選挙」


    菊花(キッカ)煉獄(レンゴク)散華(サンゲ)は、海賊らしく阿弥陀籤(アミダクジで決着を付けた。

  • 第4章 「縫い包み内スピーカー・菊花」


    どんな時も付和雷同、常に喋り続ける饒舌幽霊。

  • 第5章 「縫い包み内リーダー・煉獄」


    どんな事態にも冷静に対処する、常に寡黙な幽霊。

  • 第6章 「縫い包み内ファイター・散華」


    どんな場合も殴って解決、常に手が先に出る幽霊。

  • 第7章 「話し合いの結末」


    未だ姿の見えない船長を探すコトが先決だ。

  • 第8章 「船橋(ブリッジ)に隠された写真」


    メタ・カラ号を駆るアシッド一派は、四海で無敵の一団だった。

  • 第9章 「本棚の横の絵画」


    船長室を調べ直し、小さな隠し部屋を発見した。

  • 第10章 「船渠(ドック)についての記述」


    この中に秘密基地の存在を知る者は居なかった。

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  • 第6幕 「()コウ、セキ壁の海賊街へ」

  • 第1章 「第3セーテアに捧ぐ高速帆船」


    メタ・カラ号は調査船として生まれた。

  • 第2章 「海は死ぬ」


    彼らは、調査対象にも生命循環(サイクル)があるコトを発見した。

  • 第3章 「功績はやがて...」


    人々から浴びせられたやっかみの言葉が綴られるようになる。

  • 第4章 「母なる海原と、父なる孤島」


    賊と呼ばれた彼らが落ち着けるのは、大陸から遠く離れた場所でだけ。

  • 第5章 「鉱石受信機(ラジオ)の記述」


    ルニ〜ルと私は、ほぼ同時に叫んでいた。

  • 第6章 「経験値18」


    三人組はLv.1の新米操舵手(ヘルムズマンだが、難所を乗り切る勘を持ち合わせている。

  • 第7章 「過去の航跡を辿って」


    幽霊船メタ・カラ号は、針路を東に取った。

  • 第8章 「弱肉強食の北海・メシェェエ海」


    此処は、無謀の冒険家と呼ばれた帽子嫌いメ・シェェ・エが散った海域。

  • 第9章 「海を隔てて不毛が舞う」


    ウ・クラ無間地帯の弊害が、雪に混じって船まで届けば――

  • 第10章 「悪魔が(キタりて鍋が()く」


    キッチンに居る筈のハファッシュが、甲板でサボり始めた。

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  • 第7幕 「キョウイに(オノノ)く」

  • 第1章 「座標確認、針路を南へ」


    南西に、タスカ・ムカ地所(ランド)が見えた。

  • 第2章 「(イカダ)の上の聖人」


    サュクョリテ・セイラーは、筏にテントという心許無い住居に暮らしていた。

  • 第3章 「脅威を孕む東海トラッティ・ヲァィ」


    詳しいコトの語られぬ、船乗りの墓場。

  • 第4章 「天井から視線」


    妙な気配を感じて、ルニ〜ルと警戒を強めた。

  • 第5章 「教委の干渉」


    海上((員会からの指導を受け、我々はG旗を掲げた。

  • 第6章 「驚異再び」


    しかし、海獣は襲ってはこなかった。

  • 第7章 「二代目超教師(チョウキョウシ)ルュッツ・ルーィディ〜ムャキ」


    超海域であるトラッティ・ヲァィでは、(スベての海獣が彼女に従う。

  • 第8章 「この先、強制水先区(ミズサキク)


    東の水先人(パイロット) コール・ンァットは、旗を確認すると、勝手に乗船してきた。

  • 第9章 「海賊島ナディスティ・タイス」


    ソレは、昔語りに出てくる島国の王女の名だった。

  • 第10章 「幽霊だらけの街・ゴースティ」


    この島の存在を知る乗組員たちは、自力で此処まで戻ったらしい。

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  • 第8幕 「キョウカイからの死者」

  • 第1章 「病床のキャプテン・アシッド(幽霊)」


    メタクリルさんとの再会で、私は(ヨウヤく過去を清算するコトが出来た。

  • 第2章 「凪の日の裏切り」


    難破は、一級航海士タクラリー・ィフルェミ〜ドが仕組んだモノだった。

  • 第3章 「背信防止協会」


    協会からアシッド一派へ、正式な要請があった。

  • 第4章 「協会員ラャスタ・クルックー」


    派遣されてきた彼もまた、海で命を落とした者だった。

  • 第5章 「伝説の六分儀(レジェンダリィ・セクスタント)


    私は、ィフルェミ〜ドの行方を追う役を買って出た。

  • 第6章 「聖海員(カイイン)教会」


    その粗末な小屋は、確かに聖域のようだった。

  • 第7章 「祈る者に募るモノ」


    メタクリルさんの回復を祈る一方で、任務に対する不安も膨らんでいた。

  • 第8章 「海と獣の境界」


    ルュッツ自身の提案により、彼女の同行が決定。

  • 第9章 「キャプテン不在で生まれた信頼に基き..」


    私、事務長(マネージャーソットリットは助手2名と操舵手3心1体を指名した。

  • 第10章 「死者の教戒(キョウカイ)


    危険を回避する為、我々は引き続き水先人(パイロット)ンァットを雇うことにした。

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  • 第9幕 「コペルニクス的テンカイ」

  • 第1章 「展開を受け入れよ」


    今、自分は幽霊の生にも責任を持たねばならない。

  • 第2章 「兄弟ッ、船影を捕捉ッ!」


    悪魔の視力は、命を落として尚良好。

  • 第3章 「海賊旗を視認」


    ナディ島より22海里の地点(ポイント)にて、手配中(ターゲット) ォヨヴィス一派との交戦を開始。

  • 第4章 「敵艦、転回」


    性能の差で、追い付くコトが出来なかった...

  • 第5章 「海底火山は天界への入口」


    我々の中に、躊躇う者は居なかった。

  • 第6章 「星の海は沙漠に似ている」


    少しでも読み違えば、遭難が決定する。

  • 第7章 「統計上では地獄に分類される場所」


    此処は、背信に身を投じた者の袋小路。

  • 第8章 「神のエキス」


    この水溜りに澱んでいるモノが、裏切りの理由。

  • 第9章 「海の墓場で弔って」


    落としたイノチを何処かで拾うコトが出来たなら、或いは――

  • 第10章 「誤解の上に成り立つ公海」


    思い込みにパラダイム転換を適用した瞬間、この海は干上がるだろう。

is10第10幕

  • 第10幕 「サイセイに気付く時」

  • 第1章 「戦友との下船」


    私が抱える船舶用時計(クロノメーター)は、キズだらけだった。

  • 第2章 「プラシーボ硬貨」


    我々が持ち帰った秘宝は、思い込みで症状改善に繋がる効果を示す。

  • 第3章 「沈黙のゴースティ、最盛」


    キャプテン・アシッドの復職を、街の全員で祝った。

  • 第4章 「済世(サイセイ)を夢見る事業」


    この島で、幽霊の幽霊による幽霊の為の造船業が興った。

  • 第5章 「幽霊の定義」


    海で命を落とすのと、陸で死を経験するのとでは、大きな違いがある。

  • 第6章 「再生の門の話」


    再資源化(リサイクル)から零れ落ちた船乗りが、幽霊の正体だ。

  • 第7章 「乗船拒否」


    私は、光栄とも云える誘いを断った。

  • 第8章 「海難」


    我々の中で、ソレは最も大きな関心を寄せるモノと成っていた。

  • 第9章 「幽立(ユウリツ)救命艇協会」


    設立を提案したのは、菊花だった。

  • 第10章 「差異性を包括する海」


    海は、その差異を(オカ)には持ち込まない。代わりに、命を持つ者も落とした者も、海では同じ次元(ルール)で生きられる。

幽霊船ログブック

is11舞台袖:結

M.N.
Regulation ligthts were strictly attended to.
Round made alls well.

幽立救命艇協会所属 /
海難救助船ソット・ルニ〜ッシュ


私は航海日誌(ログブック)を閉じ、
甲板で始まった祝いの歌を聞いていた。

ノックの後、一等航海士(チョッサー)ルニ〜ルが
ドアを突き抜けて顔を出した。
「キャプテン、そろそろ上に来いよっ。
 みんな待ってるんだぞ?」
(ぐに行くと返事をし、
私はここまでの記録をパラパラと捲った。
操舵手(ヘルムズマン名物(マスコット)に成り、広報も兼任。
志を同じくする機関士(エンジニア
甲板員(セイラーも増え、毎日よくやってくれている。
そして経験を積んで戻ったハファッシュは、
今や四海でトップクラスの水先人(パイロットだ。

今日も我々は、波と危険を乗り越え、
命を救う為の航行を続けている。

幽霊船ログブック

is12舞台裏

操舵装置・その他の航海設備点検、結果は良好。


"we salvage your life in the high seas."
by Sottoritto Faaafu